トイレで用を足して水を流した後、いつまで経っても便器の水や手洗い金具（蛇口）からチョロチョロと水が流れ続けているというような経験はないでしょうか。
放っておくとどんどんひどくなり、トイレが水浸しになってしまうことも……。今回はこのようなトイレの水が止まらない原因をご紹介いたします。
| ＜この記事でわかること一覧＞ トイレの水が止まらない時の応急処置 トイレの水が流れる仕組み トイレの水が止まらない症状と原因 ボールタップの不具合を直す方法 ゴムフロートの不具合を直す方法 手洗い管の不具合を直す方法 オーバーフロー管の不具合を直す方法 タンクレストイレの不具合を直す方法 自分で直さないほうが良いケース |
トイレの水が止まらない症状は、タンク内に原因があることが多いです。
しかし、タンク内を確認するよりも先に、しなければならないことがあります。
それは、トイレの止水栓を閉めることです。
トイレの止水栓を閉めることは、いったん水を止めるための応急処置方法として有効です。
止水栓は一般的に、トイレの壁からトイレタンクへとつながる給水管の途中についています。
マイナスドライバーで回せるような一文字のくぼみがある「ドライバー式」、内側にマイナス型の溝がある「内ネジ式」、蛇口のようなハンドルがついた「ハンドルタイプ」の3種類あるのが特徴です。
トイレの洗浄水は、トイレタンクに貯ためられた水が流されています。
この貯水は、家の水道管から分岐して、トイレに供給される仕組みになっているのですが、給水管の途中にある止水栓を閉めることで、トイレへの水の供給だけを完全に遮断させることが可能です。
そのため、トイレの止水栓を閉めれば、水道の元栓を閉めることなくトイレへの水の給水をストップできるので、キッチンなど他の水まわりへの影響がありません。
ただし、まれにトイレに止水栓がない場合があります。
この場合は水道の元栓を閉めるしかありません。
トイレの止水栓を閉めたら、水が止まらない原因箇所ごとに違った対応をする必要があります。
正しい対処法を知るために、まずはトイレタンクの部品について知ることが大切です。
| 部品 | 主な役割 |
|---|---|
| 給水管 | ・水道管からトイレへ水を送る管 ・トイレの壁もしくは床から止水栓へつながり、トイレタンクへと接続している ・ウォシュレットタイプのトイレでは、途中で分岐水栓にもつながっている |
| ボールタップ | ・給水管がタンクに入ってすぐの場所にあり、トイレの内部便器内や、手洗い管に水を送る部品 ・ボールタップはあらゆる部品と連動し、水の供給を行う |
| ピストンバルブ | ・ボールタップについている部品 ・開閉することにより、水の供給を制御 |
| 浮き玉 | ・支持棒を通してピストンバルブとつながっている部品 ・タンク内部に貯ためられた水の表面に浮いており、中は空洞 ・浮き玉と支持棒が水位によって上下に移動するのと連動して、ピストンバルブが開閉し、水の供給量を調整 |
| 水洗レバー | トイレタンクの横についており、水を流すときに必要な部品 |
| アームとチェーン | ・水洗レバーの先につながっている部品 ・タンク内でレバーと連動して動くことで、ゴムフロートを開閉 |
| ゴムフロート | ・タンクの底部にある、便器内への排水弁 ・水洗レバーをひねるとゴムフロートが浮き、貯水が便器内へ排水 ・部品の寿命は10年、短いと7〜8年ほどと言われている |
| オーバーフロー管 | ・ゴムフロートの横にある、標準水位より少し上ほどの高さまである管 ・ゴムフロート同様、下部で排水口へとつながっている |
トイレタンクの部品や役割を確認したところで、トイレの水が流れる仕組みを解説します。
まずは、トイレタンクに水が供給される仕組みを見てみましょう。
トイレを誰も使用していない普段の状態では、浮き玉は正常な水位の高さにあり、ボールタップからの給水は行われません。
続いてはトイレを使用した後、便器内に水が流れる仕組みを解説します。
このような一連の作業があるため、タンク式トイレの場合は、連続して便器内に水を流すことができません。
また、排水に関する部品には、ゴムフロートとオーバーフロー管がありますが、通常はゴムフロートからのみ排水されます。
しかし、水位が標準水位を大きく超えてしまっている際には、オーバーフロー管が先端から水を取り込んで便器内へと排出し、貯水の水位を下げる役割を果たします。
トイレタンクの部品や、トイレに水が供給される仕組みが理解できたら、実際にタンク内の確認をしてみましょう。
それにはまず、トイレタンクの蓋を開けなくてはなりません。
蓋は意外と重たいので、注意をしてください。
トイレのタンクには、手洗い管がないタイプとあるタイプの2種類あります。
手洗い管がないタイプなら、タンクの蓋を真上に引き上げるだけで簡単に外すことが可能です。
手洗い管があるタイプは、さらに以下の3つに分けられ、それぞれに決まった開け方があります。
使用している蓋のタイプをきちんと見極めてから、蓋を開けるようにしてください。
また、蓋を開けた下に透明カバーがある場合がありますが、簡単に外せます。
| 手洗い管の種類 | 特徴・外し方 |
|---|---|
| 金属パイプタイプ | ・ボールタップと手洗い管が金属パイプでつながっていることがほとんど ・タンクの蓋を垂直に引き上げれば外れる |
| 蛇腹ホースタイプ | ・手洗い管とボールタップが、ナットと蛇腹ホースでつながっている ・ナットは蓋の内側についているため、反時計回りにまわして外す ・ナットがないタイプなら蓋を真上に引き上げれば外せる |
| ゴムホースタイプ | ・手洗い管とボールタップがゴムホースでつながれており、ゴムホースにバンドがついている ・ゴムホースバンドを外せば蓋を開けられる ・バンドがなかなか外れない場合は、ギリギリの部分でゴムホースを切断する必要がある |
手洗い管は陶器でできていることが多いため、慎重に取り扱いましょう。
ここからは症状別に、トイレのトラブルとその原因を確認しましょう。
いつまでたっても水が止まる気配がなく、便器に水が出ている状態です。
チョロチョロと音を立てていたり、シューという水が通る音が聞こえます。
流れ出ている量が少量の場合は、音がほとんどしないので気付かないことも多いですが、便器の中をよく見てみると、水が流れているのが確認できます。
通常時や洗浄後に便器内への水の排出が止まらない時は、以下のような不具合が原因として考えられます。
＜ゴムフロートが正常に機能していない＞
原因となっている可能性が最も高いのは、ゴムフロート関連の不具合です。
ゴムフロートはタンクの底で排水弁の役割を果たしている部品ですが、これが経年劣化していたり、位置がずれてしまっていたりすると、便器内へ水が排出され続けてしまいます。
＜タンク内の水位がオーバーフロー管の先端より上に来ている＞
トイレ内部の水位がオーバーフロー管より上に来ていたら、給水機能の問題も考えられます。
ボールタップや浮き玉の故障により、給水管からタンク内へ水が流れ続けると、オーバーフロー管から絶えず水が便器内に排出されます。
トイレの異音に関して他にも知りたい方は下記をご覧ください。
上部にある手洗い管から水が流れ続けると、水の勢いはないものの、便器に水が流れて出てしまいます。
手洗い金具管からの水が止まらない時は、以下のような不具合が原因として考えられます。
この症状は基本的に、ボールタップの不具合もしくは、他の原因によってボールタップが機能していないことで起こります。
水洗レバーの鎖が絡まってゴムフロートが開閉しない、または、あらゆる接続部分のパッキンが劣化することで止水されない、などから、ボールタップが正常に機能しないこともあるのです。
そのため、ボールタップ以外の部分もしっかり確認をしましょう。
また、各接続部分のパッキンから水漏れしている場合は、パッキンの交換が必要です。
手洗い管のトラブルや対処法に関して詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
トイレタンクの内部から水が流れる音が聞こえる場合は、水が供給され続けている可能性があります。
この場合は、以下のような不具合が考えられます。
トイレタンク内部への給水は、ボールタップと浮き玉の働きによって調整されています。
これらの機能が正常に発揮されないと、給水量が制御できなくなってしまうのです。
また、ゴムフロートの場合は、しっかり排水弁の役割を果たせていないと、水が流れ続けてしまいます。
ウォシュレットは電化製品であるため、専門知識なしで自分で修理するのは危険な場合があります。まず、電源を切って水を止めることが重要です。メーカーのカスタマーサービスに連絡するか、プロの修理業者に相談するのが賢明でしょう。
ウォシュレットの水が止まらない原因はいくつかあります。
また、ウォシュレットの水が止まらない問題の一因として、リモコンの電池切れも考えられます。リモコンはウォシュレットの操作をコントロールするために使用されますが、電池が弱くなると正常に機能しなくなることがあります。
電池の残量が不足すると、リモコンからの停止信号がウォシュレット本体に伝わらず、結果として水が止まらない状況が発生するのです。
また、下記でも対処法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ボールタップの不具合は、タンク内、手洗い管、便器といったあらゆる箇所に影響を及ぼします。
トイレの水が止まらない時はまず、ボールタップの不具合を疑ってみてください。
ボールタップの不具合があると水を供給し続け、タンク内の水位が異常に高くなってしまいます。
ボールタップの下側には水位を調整するネジのような部分があり、ここが緩むことで水の供給過多になります。
タンク内の水位に異常がある場合は、まずこの部分を締め直して調整しましょう。
ボールタップが劣化や破損などによって故障していると、給水や止水の機能がうまく働かなくなります。
試しに浮き玉を上に持ち上げてみても水が止まらなければ、ボールタップの故障とみて間違いありません。
この場合は新しいボールタップに交換する必要があります。
浮き玉が破損していると、中に水が入り込んでしまったり、支持棒が折れ曲がったりする可能性があります。
こうなると、水位の変化が正しく伝わらなくなってしまい、ボールタップの誤作動につながるのです。
この場合は、浮き玉や支持棒を新しいものに交換することで解決するでしょう。
ボールタップと同じく、ゴムフロートもトイレの水が止まらないといった不具合を引き起こす可能性が高いです。
ゴムフロートは常に水中にあるため、経年劣化も早いです。
劣化している場合、ゴムフロートを新しいものに交換する必要があります。
水洗レバーとゴムフロートをつなぐ鎖が絡まっていると、ゴムフロートが常に持ち上がっている状態になり、便器への排水が止まらなくなります。
この場合は鎖の絡みを解消して元に戻し、適切な長さにすることで改善できます。
まれに、ゴムフロートに異物が引っかかってしまったため、排水口をしっかりふさげず、便器への排水が止まらなくなることがあります。
異物を取り除くことでこの症状は解消されますが、ゴムフロートが傷ついてしまっている場合は、程度を見て新品への交換を検討してください。
手洗い管から水が漏れている場合、手洗い管につながるジャバラホースが接続されていないことが考えられます。
ジャバラホースを接続するためには、手洗い管のナットをしっかり締めてみてください。
ナットを締めても解決しない場合、ホースやパッキンの損傷が考えられますので、新しいものと交換しましょう。
オーバーフロー管のどこかが破損してしまっていると、水位が高くなくてもオーバーフロー管の破損箇所から水が入り込み、便器への排水が止まらなくなることがあります。
この場合は、何らかの形で破損箇所をふさぐことが大切です。
一番手軽なのは、防水のゴム板やアルミテープで穴をふさぐ方法です。
こうしたDIY用品は、ホームセンターなどで手に入れられます。
破損箇所が多いなど上記の方法では対処できない時は、オーバーフロー管を新しいものに交換しましょう。
ここまではトイレの水が止まらない症状や原因、対処法などについてお話ししてきましたが、全てタンクの付いた一般的なタイプのトイレのお話でした。
しかし近年はタンクの付いていない、「タンクレストイレ」も増えてきています。
ここからはタンクレストイレについてご説明します。
タンクレストイレには、「フラッシュバルブ式」と「オール電化」の2種類があります。
フラッシュバルブ式のトイレは、水道から直接便器へ排水を行うタイプです。
便器の後ろにトイレタンクが併設されていない構造のトイレで、壁や床から水のパイプが伸びて直接便器へとつながっています。
一方、オール電化のトイレは、タンクへの給水や便器への排水などトイレの機能の全てが機械化されているタイプです。
商業施設などでよく見られる、便器の洗浄をスイッチやセンサーで行えるものがこれにあたります。
タンクレストイレは、タンクのあるトイレと構造が異なるので、トラブルがあった場合、対処法が異なります。
フラッシュバルブ式のタンクレストイレで水が止まらない症状が起きた際、自分で修理できる場合があります。
主な原因は給水管内部のパッキンや接続部品の劣化であることが多く、これらを新しく交換することで症状が改善されることがあります。
修理の手順としては以下の通りです。
ただしこの方法は、水が止まらない症状が起きているのが、単独のトイレである場合に限ります。
オフィス用のビルなど、1箇所に多くのトイレが設置されているようなところでは、フラッシュバルブ式のタンクレストイレであったとしても、素人が自分で修理をすることは難しいです。
専門の修理業者に修理依頼をしてください。
オール電化のタンクレストイレで水が止まらない症状が起きた場合、修理をするには電子機器に関する専門的な知識が必要です。
他の不具合が起きた場合でも同じことが言えます。
水が止まらないという症状に限らず、オール電化のタンクレストイレで不具合が起きた際には、直ちに止水栓を閉めて電源コンセントを抜き、製造メーカーや修理業者へ問い合わせることをおすすめします。
ここでは自分でDIYすることをおすすめしない例をご紹介します。
オーバーフロー管が折れてしまった場合は、オーバーフロー管ごと交換する必要があります。
しかし、この修理はタンク本体を取り外す必要があるため、素人には不可能です。
屋外にあるパイプはもちろん、地中に埋められているパイプでも、老朽化や自然災害、外からの衝撃などで故障することがあります。
放置すると住宅が傾いてしまう恐れもありますので、直ちに修理業者に依頼することが大切です。
特に地中に埋められているパイプの場合は、修理後に埋め直す必要があり、自分で直すは難しい作業です。
前述の通り、オール電化のトイレで不具合が起きた際は、素人が修理するのは危険を伴います。
感電や発火などの恐れがあるため修理をしないようにしてください。
そのうえ、オール電化のトイレは、不具合の原因がトイレだけではないため、原因の特定すら難しいこともあります。
オール電化のトイレで不具合が起きたら、ウォシュレットや暖房便座の電源を抜いて止水栓を閉め、直ちに修理業者に依頼してください。
トイレは部品がたくさんあり、さまざまなパーツが連動しているため、水が止まらない原因を判断するのは、プロでなければ難しい作業です。
また、原因が分かっても、同じ型番の部品を買い揃える必要があります。
見た目は同じに見えても、型番が違うだけでさらなる水漏れがおきる場合があるからです。
そのため、自分で修理するにはまず、該当の部品を取り出して同じ型番のものを購入し、さらに修理するといった手間がかかります。
その間トイレが使えないことも、生活に多大な影響を与えるでしょう。
「DIYに自信がない」「自分で解決できそうにない」という時は、修理業者に頼みましょう。
修理業者に依頼する際は、以下のような業者に注意してください。
修理業者に依頼する際は、必ずホームページを参照し、適正料金であることと、修理実績をきちんと確認するとともに、説明に納得できる業者を選ぶようにしましょう。
水道業者で失敗しないためにも修理業者の料金相場を把握することが大切です。
これらの金額は、全て部品代込みの値段です。
| 作業内容 | 作業料金 |
|---|---|
| パッキン交換 | 1,000円～ |
| 水漏れ修理軽作業 | 4,000円～ |
| その他部品交換 | 1,000円～ |
| 給水管加工 | 5,000円～ |
| タンク内部品交換（タンク脱着無し） | 6,000円～ |
| タンク内部品交換（タンク脱着有り） | 8,000円～ |
| タンク交換 | 50,000円～120,000円 |
これらの修理費用に加えて、5,000円ほどの基本料金がかかるのが一般的です。
この金額を目安に、安心できる修理業者を探してください。
なお、水道救急センターでは5,500円の基本料金が初回のみ無料となるサービスを実施しています。お気軽にお問い合わせください。
トイレの水が止まらないとお困りの方に、多くの方が悩んでいる疑問をまとめました。
賃貸物件でトイレの水漏れが発生したときは、まず止水栓を閉めてから賃貸契約書を確認することが大切です。次に大家さんや管理会社に連絡して指示を仰ぎましょう。
契約内容によっては、借主が修繕費用を負担する特約が設けられていることもあります。このため、契約書を熟読し、正しい対応手順を把握することが不可欠です。
契約書の規定に従わずに独断で修理を行うと、後に修理代や関連費用を請求される可能性があります。トラブルを避けるためにも、必ず契約書の内容を確認し、それに基づいた行動をとることが賢明です。
蛇口からの小さな漏れでも、直径1mmで1ヶ月約1,000円の水道代がかかります。漏れの大きさが増すとコストは急激に上昇し、10mmの漏れで約月額36,000円にも達することがあります。
特にタンクからの漏れは気づきづらいのが問題です。水道代が増えたことで初めて問題が発覚することもあります。そのため、定期的な点検と早期発見が重要です。
トイレの水道代に関して詳しく知りたい方は下記の記事も併せてご覧ください。
トイレの水が止まらない時は、まず止水栓を閉めてください。
ウォシュレットや暖房便座を使っている場合は、直ちに電源も抜きましょう。
トイレタンクの内部構造は複雑で、多くの部品がきちんと配置されています。部品の位置をわずかに変えるだけでも、新たな問題を引き起こす可能性があるため、慎重な対応が求められます。自信がない場合は専門家に依頼しましょう。
水道救急センターは、明確な修理価格の提示に加えて、トラブルの再発防止もサポートします。
もちろん、点検や見積もりは無料です。
さらにGPSシステムでスタッフを各エリアに配置しているため、お客様からお電話いただければ最短30分で自宅まで駆けつけます。少しでも不安を感じることがあれば、お気軽にご連絡ください。
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