トイレの排水管にトラブルが起きた場合、迅速な対処が必要になります。
それがマンションのトイレであれば、他の居住者に迷惑をかけてしまう可能性もあるので、尚更です。
マンションのトイレの排水管トラブルを解決するにはまず、マンションの排水管そのものの構造を理解しておくことが重要になってきます。
今回は、マンションにおけるトイレの排水管の構造について解説していきます。
トイレの排水管の構造は、マンションと一軒家では異なります。
マンションには、各部屋の排水のために設置された専用部分と、マンションの居住者全員の排水のために設置された共有部分に分かれています。
各部屋の専用部分から流れてきた排水が、共有部分で一緒になり流れ出るというイメージです。
また、排水には3つの種類があります。
1つ目は、キッチン、洗面所、浴室、洗濯機から流れ出る雑排水(ざっぱいすい)。
いわゆる生活排水と呼ばれるものですね。
2つ目は、トイレから流れる汚水。
そして3つ目は、屋上やバルコニーから排水される雨水(うすい)です。
この3つのうち、自然現象によって発生する雨水だけは、雑排水と汚水の2つとは別の配管を通じて排水されます。
その他の雑排水と汚水をどのように排水するかによって、マンションの排水管の構造が異なるのです。
以下からは、合流式と分流式の解説をしていきます。
雑排水と汚水が、同じ排水管で流れる構造になっているものを合流式と呼びます。
築年数が古いマンションに多く取り入れられており、1つの排水立て菅(全部の階を繋ぐ縦長の排水管)に、雑排水と汚水を合流させて排水する仕組みです。
合流式の構造の場合、排水管のつまりや逆流が発生すると、被害が拡大してしまう恐れがあります。
例えば、トイレがつまった際に、雑排水と汚水が逆流して浴室の排水口から溢れ出すといったこともあるので、注意が必要です。
雑排水と汚水それぞれに専用の排水管を設置し、別々に流れる構造になっているものを分流式と呼びます。
最近建てられたマンションの多くは、この分流式の構造になっています。
中には、つまりが起こりやすいキッチンの雑排水を、さらに別の排水管に流れるようにしているものもあります。
排水は最終的に、合流式、分流式どちらの場合も、マンションの排水管から、敷地の排水管を経て、下水道に流れます。
公共の下水道が整備されていない地域の場合は、敷地内にある浄化槽を経て排水路に流れ出る仕組みになっています。
マンションの排水管の構造が理解できたところで、排水トラップの存在についても知っておきましょう。
排水トラップとは、排水管の中に、封水と呼ばれる水が溜まる空間を作ることで、排水管の奥から上がってくる悪臭や、害虫の侵入を防ぐものです。
よく、害虫が排水管を通って室内に入ってくるという話を聞きますが、排水トラップがあれば実際には物理的に不可能です。
そのため、排水管内の排水トラップを潜り抜けて、這い上がってくる害虫は殆どいないと言えるでしょう。
ただし、稀に排水トラップがない排水管が使われている場合や、長期不在により封水が切れてしまう場合があるので、気をつけてください。
マンションのトイレの排水管がつまってしまうと、他の排水口や、他の居住者の排水管にも影響を及ぼすことがあります。
トイレつまりの原因となり得るものを事前に知っておき、対策をとっておきましょう。
トイレットペーパーは水に溶けるように作られていますが、一度に大量に流すとつまりの原因になってしまいます。
特に多いのが、トイレットペーパーを使用した際に、いつも小洗浄で流していたため、完全に流れずにつまってしまったというケースです。
小洗浄は小便用ではありますが、それは小便でトイレットペーパーを使用しない男性を基準とした話です。
トイレットペーパーを流す際は、基本的にトイレのレバーを大の方へ引いて流すといいでしょう。
おむつや紙ナプキン、尿漏れパットといった水に溶けない紙製品をトイレに流してしまい、つまりを引き起こしてたケースも少なくありません。
紙でできているからといってトイレットペーパーを同じ感覚でトイレに流す人がたまにいますが、絶対にやめましょう。
おむつ、紙ナプキン、尿漏れパットなどの紙製品は、液体を吸収することに優れているため、トイレの排水管でつまってしまうと、その中で水を吸収し膨らんでしまいます。
自力で取り出すのが困難になる上に、共有部分の排水管まで流れてしまうと大きな水トラブルにつながることもあるので、十分に気をつけましょう。
便がトイレにつまってしまうというケースもあります。
排泄物を流す際の水量が足りない場合は、上手く流れずにトイレの排水口でつまってしまいます。
また、排水管に汚れが蓄積していると、排泄物がその汚れにひっかかり流れないといったことも。
便器を除いて排泄物がつまっていることが確認できる状態であれば、対応もしやすいですが、奥の排水管の方で知らない間に汚れや排泄物がつまることもあるので注意しましょう。
また、便器や排水管の清掃を怠ったことにより付着した尿石が原因もつまりを引き起こす原因になることがあります。
水に流せるタイプのお掃除シートや、ペット用のトイレ砂などをトイレに流したら、つまってしまったというケースも。
いくら水に流せるとはいえ、一度に大量に流してしまえば、トイレつまりを引き起こしやすくなります。
水がもったいないからといって、一度にたくさんの物を流さないようにしましょう。
特に流せるタイプのペット砂は、何回かに分けてトイレに流すか、燃えるゴミとして捨てるようにすれば、トイレがつまる心配がありません。
子どものおもちゃやメガネ、携帯電話、掃除用品、インテリアグッズなどを誤ってトイレに落としてしまったという人は少なくないはずです。
トイレのレバーを引いて、水を流した後に、そういった固形物を落としてしまった場合、固形物が排水管の奥へと流れていってしまう可能性が高いです。
そうなってしまうと自力でトイレつまりを解消することは、ほとんど不可能になってしまいます。
固形物を落とさないように十分注意するようにしましょう。
一般家庭用トイレの基本的な構造としては、タンク内に貯められた水を流すことで、汚物を排水管に押し流す仕組みです。
よく節水に効果があるとされ、タンク内にペットボトルなどを入れている方もいらっしゃいます。
確かに流れる水の量が少なくなるのですが、それは同時に汚物を流すために十分な水が流れないということにもなります。
そうすると、汚物が十分に流れずにトイレつまりを起こしてしまうことも。
タンクに物を入れると、給水機能が損なわれる可能性があるのでおすすめはしません。
排水管の内部を長期間清掃していないと、汚れが蓄積していきます。
トイレから流れる水も、やがて台所やお風呂場からの水が流れる排水管で合流します。
つまり、排水管内には髪の毛や、キッチンの排水口から流れてくる食べかすや油も蓄積しやすいです。
だからこそ定期的な排水管清掃やメンテナンスが必要なのですが、これらが定期的に行われていない場合は、排水管のトラブルやつまりが発生しやすくなると考えてください。
近頃では節水できるトイレが注目され、マンションのトイレを節水トイレに買い替える人も少なくありません。
しかし、節水トイレは排泄物を流す際の水の量が少ないため、従来のトイレよりもつまりやすいと言えます。
マンションのトイレの排水管には傾斜があり、共有部分の排水管に流れやすいようになっています。
しかし、この傾斜は建物に最初に設置されたトイレに合わせて作られているため、後から設置された節水トイレの少量の流水には対応しない場合があるのです。
もし、節水トイレへの買い替えを検討するならば、マンションの排水管の構造についてもよく確認した方がいいでしょう。
トイレと一体型の浴室や、合流式の排水管の住居の場合、浴室の排水口のつまりが原因でトイレの排水管がつまるケースもあります。
髪の毛をそのまま排水口に流していませんか?
髪の毛は一本一本が細くても、排水管の中で絡まりつまりやすいものです。
特に、長い髪の毛は排水口の中でどんどん溜まっていき、そこに垢や石鹸などのカスがこびりつくと取り除くのが難しくなる上に、雑菌が繁殖し、悪臭の発生に繋がります。
排水口に髪の毛が流れるのを防ぐカバーを日常的に利用する、入浴後はティッシュで髪の毛を取り除く、汚れを溶かすジェルで排水口をこまめに掃除するといったことを心がけましょう。
トイレつまりが起こった際に、状況によっては自分で解決することも可能です。
ただし、間違った対処法をしてしまうとかえって状況を悪化させてしまい、さらに深刻な水トラブルを引き起こす可能性もあるので注意しましょう。
これから、マンションのトイレつまりの解消法をケース別に解説していきます。
トイレットペーパーは元々、水に溶けやすい性質を持っているので、解消方は比較的簡単です。
トイレットペーパーによるつまりの解消法を解説します。
まず、便器内の水量が増えても溢れないように、予め汚水を汲み出しておきましょう。
準備ができたら、鍋やバケツなどに60℃前後のお湯を入れ、便器の中に注ぎ込むようにします。
その後、注いだお湯が冷めないように便器の蓋を閉め、30分ほど放置します。
時間を置いた後に水を流し入れて、つまりが解消されたかどうかを確認しましょう。
それでも解消されない場合は、お湯によって溶けやすくなったトイレットペーパーを、伸ばした針金ハンガーやワイヤーブラシを使って砕いてもいいでしょう。
水に溶けない紙製品、たとえば紙おむつや紙ナプキン、尿もれパッドがつまった時の対処法は、放置せずいち早く取り除いてください。
これらの紙製品は吸水性が高いため、トイレの水を吸ってしまいます。
水に浸された状態だと、元の大きさの2~3倍以上に膨らんでしまうこともあり、時間が経てば経つほど、つまりの被害が深刻になる可能性があります。
つまったものが目で確認できる状態であれば、ゴム手袋をして直接手で取り出しましょう。
間違っても水を流してはいけません。
便がつまってしまった場合、便を溶かすことができればつまりを解消できます。
便を溶かすためには、洗濯洗剤をお湯と混ぜたものを流し入れましょう。
洗濯洗剤は粉のものではなく、液体のものを使ってください。
鍋一杯のお湯に、洗濯洗剤を100ccほど入れたものを便器内に注ぎ込みます。
その後20分ほど放置し、便が溶けて柔らかくなっていれば、つまりが解消されます。
これは洗濯洗剤に、タンパク質を分解する成分が含まれており、便はタンパクでできているため便を分解してくれるというメカニズムです。
吸水性のあるポリマーが含まれる製品によってトイレつまりが起こった場合は、お湯と塩で解消できるかもしれません。
お湯を鍋一杯分用意し、その中に塩を50gほど溶かして食塩水を作ります。
ゆっくり食塩水を流し入れ、10分ほど放置するとつまりが解消する可能性があります。
食塩水は濃度が高いため、便器内に注ぐことでポリマー中外の塩分濃度の差が大きくなります。
すると、ポリマーが濃度を均等に保とうとして、吸収した水を排出することによって体積が小さくなるため、つまりを解消できる可能性があります。
固形物によりトイレつまりが発生した場合は、解消法として一番正しいのは、異物を取り除くといった方法です。
金属やプラスチックの固形物は、溶かして流すといったこともできないので、便器から取り出す方法が有効です。
目視で確認できるところに異物がある場合は、ゴム手袋をした手もしくは厚手のビニール袋を巻いた手で直接取るようにしてください。
固形物が便器の排水溝の奥の方に行ってしまった場合、取り出せそうであれば手を使う、またはワイヤーブラシに引っ掛けるようにして取り出すのもいいでしょう。
しかし、固形物がひっかかっている、排水口の奥の方まで流れてしまっている場合は、無理に取り出そうとすると、さらに奥へ押し込んでしまう可能性があるので要注意です。
トイレのタンクの水不足でつまった場合は、タンク内に何か入れていないかを確認してみるのがいいでしょう。
ペットボトルなどの余計なものが入っていた場合は、取り除き、再度水を流してみてください。
水量が多くなっていれば、原因はタンク内に入っていたものです。
もしタンク内に何も入っていなかった場合や、タンク内にあったものを取り除いても水量に変化が見られなかった場合は、タンクの不具合の可能性もあります。
専門業者に依頼して、見てもらうのがいいでしょう。
排水管の中の汚れによってつまりが起こってしまった場合、自力で直すのは諦めましょう。
p>排水管の中で起こった問題であれば、私たちが目で見て確認することもできないので、状況確認やつまり解消のために専用の道具が必要になります。
トイレの使い方に問題がなく、異物を流した可能性もないのに、排水管の中の方でつまりが起こったということであれば、すみやかに専門業者に依頼することをおすすめします。
トイレつまりを自力で直そうとする場合、気をつけなければならないことがあります。
これからお話しする点に十分注意して、適切な対応ができるようにしましょう。
溶けやすいものによるトイレつまりの場合、お湯を使って解消できることも多くありますが、その際は必ず60℃前後のお湯を使うようにしてください。
熱いお湯を使用するとより効果的であるように思えますが、熱湯は便器を傷めます。
最悪の場合、便器の陶器が熱に耐えられずに割れてしまう可能性もあるので、気をつけましょう。
水道修理業者を呼ぶとお金がかかるからといって、トイレつまりを無理やり自力で解消しようとするのは危険です。
簡単に取り除けるものであれば問題ありませんが、便器の奥にひっかかって取れない状態のものを無理に取り出そうとすると、異物をさらに奥に押し込んでしまう可能性が高くなります。
そうすると異物を取り出すのがより困難になる、より深刻なつまりになるリスクがあるので、難しいと感じたら速やかに専門業者に連絡をしましょう。
マンションの排水管がつまった場合は絶対に放置してはいけません。
つまりが原因で排水管が水漏れを起こした場合、下の階の天井が水に濡れてしまうといったこともあり得るからです。
軽度のつまりであれば、つまりの原因を取り除く、ラバーカップ(スッポン)を使用するといった方法で、自分で対処しても問題ありません。
しかし、重度のつまりの場合は、無理に自分で対処しようとすると状況が深刻化してしまう可能性もあります。
異常を感じた時は、速やかに業者に依頼をするのがおすすめです。
株式会社 ライフサポート 水道救急センター
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-1-12 東京セントラル宮益坂上7階 フリーダイヤル:0120-245-990
Copyright (c) 2013 LIFE SUPPORT GROUP. All Rights Reserved.