マンションの屋上の防水工事を考えている方の中には、防水加工の種類をどのように決めたら良いのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、マンション屋上の防水加工にかかる費用や寿命を、それぞれの工法別に解説していきます。
マンション屋上の防水工事はなぜ必要なのか、もし防水工事をしないとどうなるのか、気になりますよね。
瓦張りの一軒家であれば、屋根の勾配によって、雨水が下に流れ落ちていくので、屋根に水が溜まることはありません。
しかし、マンションやビルの屋上は平面になっているため、水が溜まりやすいです。
マンション屋上の防水加工をしていないと、コンクリートのわずかな隙間や亀裂から浸水し、雨漏りやコンクリートの劣化を引き起こします。
マンション屋上の防水工事とひとくちに言っても、様々な工法が存在します。
それぞれの工法の特徴やかかる費用、耐用年数を見ていきましょう。
ウレタン防水では、ウレタンと呼ばれる液状の防水剤を塗ることで、防水のための層を作ります。
その工法には、密着工法と通気緩衝工法の2種類が存在します。
密着工法とは、下地の上にウレタン防水材を直接塗ってから、メッシュ素材でできた補強布を張り、その上に再度、ウレタン防水材を重ねて塗ることで、厚さを出す工法。
一方、通気緩衝工法は、溝がある通気緩衝シートを貼った上にウレタン防水材を塗っていく工法です。
費用の相場は、1平方メートルあたり6,500円から12,000円と比較的安価な上、液状なのでどんな形状にも簡単に施工できます。
しかし、性質上亀裂が入りやすいので、施工後は定期的な塗り替えが必要です。
耐用年数は10年から12年ほどですが、亀裂が入る前に塗り直せるように、メンテナンスを行いましょう。
シート防水とは、ゴム製や塩化ビニール製のシートを貼り付ける工法です。
シート防水には、接着工法と機械的固定工法の2つの工法があります。
接着工法は、下地またはシートの裏面に接着剤を塗って貼る工法。
機械的固定工法は、下地とシートの間に緩衝材を挟み、その上からビスや鉄板などで防水層を固定する工法です。
耐用年数は10年から15年ほどで、施工にかかる費用の相場は1平方メートルあたり8,000円から15,000円になります。
施工にかかる期間が短く、頻繁にメンテナンスを行う必要もないので、コストが抑えられるのが魅力で、障害物や凹凸のない広い場所向きです。
既にある防水層の上からでも施工が可能で、シートそのものの耐久性は高いのですが、シートが剥がれる可能性もあります。
FRP防水は、ガラス繊維で強化プラスチックに、ポリエステル樹脂を組み合わせ塗っていく工法です。
耐用年数は10年から12年ほどで、施工費用の相場は1平方メートルあたり6,500円から10,000円ほどで可能になります。
軽量のFRPは、建物にかかる負担が少ない上に、プラスチック製なので腐食に強く、長持ちするのが特徴で、高層マンションなどの屋上に用いられる工法です。
さらに、ポリエステル樹脂を組み合わせることによって、摩擦に強い、温度変化にも対応可能、紫外線の影響による劣化も少ないというメリットがあります。
上記のとおり耐久性には優れますが、一方で伸縮性に欠けるため大きな地震があった際には割れやすいという性質を持っています。
アスファルト防水では、ルーフィングというアスファルトを浸透させた防水シートを重ねて防水層を作り、その上からコンクリートで固めて保護します。
アスファルト防水には、熱工法、トーチ工法、常温工法の3種類が存在します。
熱工法は、溶解したアスファルトとルーフィングシートを交互に重ねることで、防水層を作っていく工法です。
常温工法は冷工法とも呼ばれ、改質アスファルトのルーフィングシートを使用します。
シートの裏面に粘着層を加工したものを交互に重ね、防水層を形成する工法です。
トーチ工法では、他の工法とは異なる改質アスファルトのルーフィングシートを使用します。
トーチバーナーで熱を加えてルーフィングシートを溶かし、加工面に接着することで、内部に液体が入りにくい防水層を形成していくのです。
アスファルト防水の耐用年数は15年から25年と、耐久性が高いのが魅力ですが、施工費用の相場は1平方メートルあたり11,000円から22,000円と、コストがかかります。
マンションの屋上の防水加工をする場合、どの防水加工を選んだら良いのか迷うことでしょう。
マンションの工事となると、工事の期間が短く、コストが抑えられる工法を選びたいですよね。
ウレタン防水とシート防水は、施工が簡単なので期間も短く、費用も比較的安く済む上に、音や臭いなどの近隣への影響も少ないです。
より、高い耐久性と強度を求めるのであれば、FRP防水とアスファルト防水がおすすめですが、施工期間も長い上に、コストもかかります。
特に、アスファルト防水は自動車が通っても大丈夫なほどの耐久性がありますが、その分重量もあるので建物自体の耐久性や耐震性がないと難しいでしょう。
マンションの屋上の防水加工は、その工法によって寿命も異なります。
しかし、目安の耐用年数以内でも、修繕やメンテナンスが必要になるケースもあります。
施工面がひび割れた、防水シートが剥がれた、以前と比べて水捌けが悪くなった、施工面に大量の雑草が生えたといったトラブルが見られた場合は、業者に相談してメンテナンスをしてもらいましょう。
マンションの雨漏りや劣化を防ぐためにも、マンション屋上の防水工事は必要です。
防水加工の種類に悩んだら、費用、耐久性、工事期間などの特徴のうち、何を重視したいかを考えてみましょう。
自分ではよくわからないという方は、専門の業者に相談すると、自分のマンションに合った工法を提案してもらえるはずです。
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